買取も人気のフィギュアの誕生

フィギュアの作り方

買って眺めるだけではなく作り方にも興味を持とう。

あれも欲しいこれも欲しいと気が付けば何百体ものフィギュアを収集しているような 熱心なマニアになると、「そろそろ自作してみようかな、難しい技術は持ってない けど愛があるからきっと大丈夫、乗り越えられるさ」と考える時期が遠からず やってくるのですが、製作には多大な労力を要しますので一通りの手法を確認して 本当にやり遂げられそうか自問自答し、人脈やネットワークを駆使すれば可能か、 「時間はかかりそうだけどいける!」と結論が出でから取り掛かりましょう。 基本としてはいきなり完成品を作るのではなく、原型を作ってそこから複製した ものを完成品として扱うことになります。 その理由は強度の問題で、最初に作れるフィギュアの材質はかなり限られており そこで用いられる材料では長期間の保存には向かないからです。 石粉粘土はもろく儚いのでちょっとぶつけただけで腕がポキリと折れたり足が 無残に千切れたりしますし、ポリエステルは硬化剤の効果が長く持続するせいで 完成させたあとも時間が経てばどんどん変形し続けてしまい、完璧だと納得のポーズ で作業を終わらせたつもりでも毎月違ったポーズに変化していくのです。 なので最初に加工しやすい材質で原型を作ったら、それを元に長く愛せる材質で 複製を作ってそちらを完成品とするのが一般的でしょう。 石粉粘土ならまず適当に形状をそれっぽく練って乾燥させ、固まったら本格的に 加工作業をして細部を仕上げていきます。 焼成粘土もほぼ同じような流れになり、これらは絶対に衝撃を与えない場所に保管 されるのならそのまま完成品として扱うこともできますが、柔軟性も無く衝撃で 簡単に壊れてしまうので保管には注意が必要です。 なので複製品をいくつかこさえたあとは共通の趣味を持つ友人にプレゼントするか、 買取してくれるお店に持ち込んで処分してもいいかもしれません。 ポリエステルパテで作る場合も無発泡ポリウレタン樹脂も作業自体はほぼ同じで、 ベースになる大雑把な形状で硬化させてから細部を仕上げていきます。 そしてこれを原型とし、シリコーンゴムと無発泡ポリウレタン樹脂を上手に使って 作った複製品を最終的な完成品とします。 これが個人で行えそうなフィギュア製作の手順ですが、ゲームセンターの景品を 獲得するよりも難易度は高く造形の素人がうかつに手を出しては後悔するはめに なりそうなハードルの高さです。 毎日フィギュアを触っているし毎週1体は購入しているし毎月1度は口に含んでいる、 という上級者のマニアでも、完成品としか接したことがなければ造形に関しては 素人同然の腕前と自己認識してください。 耳を澄ませばフィギュアの声が聞こえる、と悟りを開いたかのようなステージに 到達している玄人でも自分の能力を過信して安易に興味を持ってよい分野では ありません、それを好きな気持ちがあっても自作するとなると別問題です。 おいしい食べ物が好きな方が全員料理上手ではありませんし、作り手と使い手では 要求される能力が違うのです。 また商売で扱うのと趣味として扱うのでも違います。 フィギュアが好きだからそれを作る仕事に携わりたい、販売するお店で働きたい、 買取する店舗に勤務したい、その思いは素敵なことで応援したくもありますが、 商売となればお金のことも考えなければなりません。 3年かけて誰にも真似できないような最高のフィギュアを作りました、自分も満足 している自信作です、定価は2,000万円です、では趣味としては最高の贅沢 かもしれませんが商人としては失格です、売れないからです。 それに手放したくない気持ちが芽生えたら製作期間の3年間がただの自分の趣味に 費やした時間になり、やはり収入0です。 このように趣味で手がけてよい範囲をわきまえて、最終的に自作するかどうかは 自己判断でお願いします。